「建設工事で困った!」ときの相談窓口
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「建設工事の法律トラブルに巻き込まれた時、どこに相談すればいいのか分からない」というお問い合わせがよくあります。
もちろん行政書士にご相談いただいてもいいのですが、トラブルの内容によっては他の相談先の方が適していることもあります。
トラブルに遭った方ごとに、建設工事のトラブルに関する代表的な相談先をご紹介いたします。
※本記事は、当事務所の行政書士が非公式にまとめたものです。実際にご相談される際には、必ずそれぞれのご相談窓口にご確認くださいますようお願いいたします。
目次
一般の方向けの相談窓口
まずは、一般の消費者と建設工事業者との間のトラブルの窓口です。
「リフォーム契約をしたけど、契約書の記載と工事内容が違う!」「納期に工事が終わらないけど減額できないの?」といった、一般の消費者の方がトラブルに巻き込まれたときの相談窓口です。
法テラス(日本司法支援センター)
法的トラブルを抱えてしまって、とにかくどこに相談すればいいのか分からないとき、問題解決の道案内をしてくれるのが「法テラス」です。
相談内容に応じて、法制度や手続き、適切な相談窓口を無料で案内してもらえます。
また法律相談の経済的余裕のない方のために弁護士費用などの立替サービスなどもあります。
取引などでトラブルになってしまった後、まず相談する先として選択肢に挙がります。
消費生活センター
「消費生活センター」は、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せを受け付け、処理を行ってくれる相談窓口です。
消費生活センターからトラブルの相手方の業者に連絡を取って、解決につながった事例も紹介されています。
全国各地に設置されていますが、どこの「消費生活センター」に連絡すればよいか分からない場合は、消費者ホットライン(188)に電話すれば、お近くの「消費生活センター」を紹介してもらえます。
(財)住宅リフォーム紛争処理支援センター
住宅の購入やリフォームに関する住宅専門の相談窓口(住まいるダイヤル)です。
建築士による電話相談や、弁護士会館での相談予約受付などをしてくれます。
住宅の工事に関する法律トラブルに特化した専門家に相談できる可能性が高いと思われます。
建設業者向けの相談窓口
「元請業者に一方的に契約金額を決められた」
「通常想定されるよりも短い工期で発注された」
「落ち度がないのに、追加工事の費用を全額負担させられた」
「分担金として過大な費用を請求された」など
など、立場の弱い建設業者がトラブルに巻き込まれることも少なくありません。
そこで、元請業者と下請業者間の取引や、公共工事に関するトラブルについての通報・相談窓口も設けられています。
建設業取引適正化センター
公益財団法人 建設業適正取引推進機構 「建設業取引適正化センター」
建設工事の請負契約の解決方法や、相談先である関係行政機関、紛争処理機関等を紹介してもらえる機関です。
トラブルの仲裁など紛争解決手続を直接行うわけではありませんが、弁護士、土木の専門家又は建築の専門家である相談指導員に無料で相談できる仕組みも用意されています。
建設業フォローアップ相談ダイヤル
国土交通省「建設業フォローアップ相談ダイヤル(旧:新労務単価フォローアップ相談ダイヤル)」
「発注者には言いにくいことや、公共工事の施工現場で事業者が直面する困難な実態などについて、元請事業者、下請事業者など様々な立場の事業者から現場の生の声を聴かせていただく」ことを目的として開設された情報受付窓口です。
工事の請負金額や法令違反行為、社会保険・労働保険の未加入対策など、様々な声が届けられているそうです。
不適正取引や法令違反を取り締まってほしいとき
不適正な取引や建設業者の法令違反に対して、違法行為の是正や営業許可の取消しなどの取り締まりをしてほしい、というケースもあると思います。
建設業者に言って是正されれば話は早いのですが、直接言っても効果がなかったり、立場が弱くて言いにくいときに通報できる窓口が用意されています。
なお、法令違反行為の具体的な内容は、国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」などで解説されています。
駆け込みホットライン -建設業法違反通報窓口-
主に国土交通大臣の営業許可を受けた建設業者 1を対象に、法令違反行為の通報を受け付ける通報窓口です。
通報や調査をもとに、違反行為を行っている可能性の高い建設業者や繰り返し違反行為を行っていることが認められる建設業者に対しては、「建設業法令遵守推進本部」が立入検査や指導を行います。
各都道府県庁に通報する
都道府県知事は、その都道府県内で工事を行う建設業者 2を監督し、指導する権限があります(建設業法28条~)。
法令違反や危険な工事・不誠実な行為を行う建設業者に対して、都道府県知事は指示や営業停止、許可取消処分を行うことができます。そのため、建設業者に訴えても法令違反行為等が改善されない場合には、都道府県知事に通報して監督・処分してもらえるよう働きかける方法もあります。
通報は、主に各都道府県の建設業許可業務を取り扱っている部署で受け付けられています。
都道府県知事の行政処分を受けた業者は一般に公表されますので、建設業者にとってインパクトは大きいでしょう。(参考:岡山県建設業者監督処分一覧)
未然のトラブル防止は行政書士に
建設工事に関するトラブルが発生してしまったときの相談・通報窓口を紹介してきました。
しかし、一番いいのはトラブルにならないこと、トラブルを未然に防ぐことです。
トラブル防止のためには、正しい知識と認識で起こり得るトラブルを想定し、あらかじめ適切に対処することが必要不可欠です。
中でも建設工事では、契約書がないことや契約書の記載が不十分であることがトラブルの原因となるケースが少なくありません 3。
契約書にまつわるトラブル防止には法律の専門家の力が必要不可欠であり、特に建設工事契約については、建設業法や契約法の専門家である行政書士が最適です。
「建設業者からもらった契約書の案をチェックしてほしい!」
「こんな下請契約書を作るつもりだが、法律上問題はないだろうか?」
「派遣(偽装請負)だと評価されないような請負契約書の作り方を教えて」
「着工後に工事内容が変わったら、新たに契約書を作成しなければダメ?」
このような疑問・ご相談がございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
【 脚 注 】
- 複数の都道府県に営業所を置く建設業者です。全国展開しているような有名な業者は、国土交通大臣許可を受けた業者と思ってまず間違いはないでしょう。 ⮥
- 当該都道府県知事の許可を受けた業者か否かは問いませんので、他県の許可業者や国土交通大臣許可業者も監督の対象です。また、許可を受けないで建設業を営む者も含まれます。 ⮥
- 東京都都市整備局「工事紛争の未然防止のために」などを参考にしました。 ⮥