契約書なしで建設工事?それ違法です!
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建設工事を請け負う事業者は契約書(注文書&請書のセットや電子契約でも可)を作成しなければなりません。
違反すると営業停止処分を受けたり、許可を取消されたりするおそれがあります。
建設業許可を受けている業者も受けていない業者も、元請でも下請でも、すべての建設業を営む事業者が守らなければならない義務です。
「リフォーム工事を頼んだけど契約書がもらえなかった。大丈夫かしら?」
「長い付き合いの業者だから、いつも契約書なんて作ってないよ」
建設工事の請負契約の話をすると、こんな声を聞くことがあります。
しかし、建設工事の請負をするときには、契約書(又は注文書と請書や電子契約書)を作る義務があり、作らなければ違法になります。
目次
契約書がなくても契約は成立する?
建設工事の契約に契約書が必要かどうか、インターネットで検索してみると「契約書がなくても、口約束だけで工事の契約は成立する」という指摘が見つかります。
これはその通りで、保証契約など一部の例外 1を除けば、契約書がなくても口頭で契約は成立します 2。
しかし、「契約書がなくても契約が成立するかどうか」と「契約書を作成しなければならないか」は別の問題です。
建設工事では契約書が必要!
建設工事の請負契約を結ぶ当事者(発注者と請負人・元請業者と下請業者)は、工事を行う前に契約書を作成し、お互いに書面を交付する義務を負います。
「建設業の許可を受けてないから関係ない」「事業者同士の下請契約では不要」といった例外は一切ありません。
建設業の許可業者か否か、元請契約か下請契約か、公共工事か民間工事か、あるいは工事の金額や規模を問わず、すべての業者のあらゆる建設工事について義務が課されます。
工事後に慌てて作ってもダメで、工事に着手する前に作成・交付することが求められています。
建設業法第19条1項
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
なぜ契約書が必要?
前述のように、口約束でも契約は成立しますが、なぜ建設業法では契約書の作成を義務付けているのでしょうか?
それは、契約内容をあらかじめ書面で明確にすることで、工事内容、請負代金、施工範囲等に関わるトラブルを防ぐためです。
建設工事は、工事内容が素人には分からないことも多く、複数の業者が長期に渡って施工する複雑な工事もあり、誰が何を行いどこまで責任を負うかを予め明確にしておかなければ、トラブルが発生したときに言った言わないの水掛け論になりかねません。そこで、それらの内容を書面として残しておく必要があるのです。
また、下請業者に対して一方的に責任を負わせる契約内容にならないよう、契約当事者の対等性を担保する狙いもあります。
契約書に書くべき16の内容とは?
契約書に記載しなければならない内容は、建設業法19条で16の項目が定められています。ただし、定めがない項目は省略できます。
上記の契約内容を変更する場合には、その内容を書面に記載し、署名又は記名押印のうえ、互いに交付する義務があります 3。口頭で変更するだけであったり、変更後に一方的に通知するのでは足りません。 また、契約書ではなく注文書と請書の交付によって契約を結ぶときや印紙代節約のため電子契約を行うときも、上記の16項目は必ず記載しなければなりません。 国土交通省や事業組合のHPで契約書式や契約約款が公開されています。ただし、会社や工事の実態に合った契約内容にするにはカスタマイズを要するでしょう。 ・全国建設労働組合総連合HP(「署名・書式ダウンロード」→「工事請負契約書」) なお、建設リサイクル法の対象となる一定規模以上の解体工事等を行う場合は、契約書に以下の項目も追加で記載する必要があるので注意してください。 建設業法に違反して契約書を作らなかった場合でも、請負契約が無効になるわけではありません 4。 しかし、建設業の許可業者か否かを問わず、国土交通大臣や都道府県知事から指導や処分を受けるおそれがあります 5。 ほかにも、実際の工事内容に合った契約書でなければ、契約内容の食い違いや代金を支払ってもらえないなど、トラブルやクレームがあった場合の対処に大きなコストが掛かる可能性があります。 契約書の作成を遵守することが、結果として自分の身を守ることに繋がるでしょう。 トラブルになる前に、弁護士や行政書士などの専門家に契約書についてアドバイスを受けることをおすすめします。 当事務所でも契約書の作成・点検など承っております。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。 【松葉会計事務所・松葉行政書士事務所】 契約書を作らなかったら?
担当行政書士:松葉 紀人(まつば のりひと)
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