法定相続情報証明制度利用の4つの手順
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相続手続が楽になる(?)法定相続情報証明制度の使い方・証明書の発行方法を、必要な書類・手続・所要日数を具体的に解説します。開始間もない制度ですが、法務局の職員の方に確認した内容を踏まえて説明していきます。
※開始間もない制度なので、取扱いが変更となる可能性がございます。予めご了承ください。
目次
法定相続情報証明制度利用の4つの手順
法定相続情報証明制度を利用するためには、以下の4つの手順を踏みます。参考:法務省サイト「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」
1.必要書類を集める
まず申請に必要な戸籍等の書類を集めます。この制度を利用する場合でも、戸籍等を取得する手間は変わりません。被相続人の戸籍(除籍)謄本:本籍地の役場
被相続人(亡くなられた方)の生まれた時から亡くなるまでの全ての戸籍と除籍の謄本 1です。相続人を確認するために必要な資料です。除籍謄本は、戸籍に記載されていた人が全員戸籍から外れたときに綴られる除籍簿の写しです。どちらも亡くなられた方の本籍地の市区町村役場で入手できますが、引っ越しなどで本籍地が変わっていた場合(転籍)はそれぞれの役場に請求しなければなりません。
本籍地が分からないときは次の住民票の除票で確認することができます。
戸籍謄本1通450円、除籍謄本1通750円の手数料が必要です(2017年8月現在)。
被相続人の住民票の除票:最後の住所地の役場
次に、被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票が必要となります。一言でいえば、亡くなられた方の住民票です。亡くなられた方の最後の住所を確認するために必要な資料です。住所・氏名のほか、本籍地も記載されています。亡くなられた方の住民票が最後にあった市区町村役場で入手できます。
おおむね1通300~400円ほどの手数料を要します(2017年8月現在)。
相続人の戸籍謄本(又は抄本):各相続人の本籍地の役場
相続人全員の現在の戸籍謄本(又は抄本)です。相続人を確認するために必要な資料です。それぞれの相続人の本籍地の市区町村役場で入手できます。なお、戸籍謄本は戸籍を構成する全員が記載されているのに対し、抄本は本人のみが記載されたものです。被相続人と異なり、いずれでも構いません。相続放棄をした相続人や、遺産分割で遺産を全くもらわない相続人であっても取得する必要があります。
申出人の氏名・住所を確認できる公的書類
相続人の代表となって手続を行う人の公的な身分証明書を用意します。登記所で手続をする際に、運転免許証やマイナンバーカードのコピー、住民票の写しなどを提出します。その他必要となる場合がある書類
・一覧図に相続人の住所も記載する場合には、住所を記載する相続人の住民票の写し・代理人が手続を進める場合には、委任状
・被相続人の住民票の除票が取得できない場合 2には、被相続人の戸籍の附票
2.被相続人と相続人の一覧図を作成する
1で入手した戸籍謄本などを基にして、被相続人と法定相続人の一覧図を作成します(下記はサンプル)。これは登記所が作成してくれるものではなく、申出人の側で戸籍を読み解いて作成する必要があります。書き方や注意事項については改めて別の記事で解説します。
法務省のホームページには、Excelによる様式のサンプルもあります。
参考:法務省「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」
3.申出書を作成し、法務局へ提出する
所定の申出書に必要事項を記入します。申出書の様式は、法務省のサイトからダウンロードできます。参考:法務省サイト「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」
申出書を作成したら、1,2で収集・作成した書類と一緒に法務局(登記所)に提出します。手数料は無料です(郵送してもらう場合の郵送費などは別)。
書類の提出先は、以下のどれかを管轄(担当)する法務局(登記所)です。持参して手続をする以外にも郵送で手続することも可能です(要:返信用封筒と郵送代)。
(1)被相続人(亡くなられた方)の死亡時の本籍地
(2)被相続人の最後の住所地
(3)申出人の住所地
(4)被相続人名義の不動産の所在地
4.法務局の発行する証明書を受け取る
書類に不備がなければ、法定相続人の証明書である「法定相続情報一覧図の写し」を発行してもらうことができます。併せて申請時に使用した戸籍等の書類も返却してもらえます。(法務局発行のパンフレットより引用)
あとは手続先ごとに一覧図の写しを提出して手続を行います。
何通発行してくれる?
証明書は相続手続に使う分だけ発行してもらえます 3。例えば、不動産登記に1通、銀行口座の解約に2通、保険会社への請求に2通必要であれば、5通発行してもらえます。再発行は可能?
「法定相続情報一覧図」は、手続をした登記所に5年間保存されますので、5年間は再発行してもらうこともできます(再発行手数料も無料です)。ただし再発行を請求できるのは、原則として手続をした申出人本人だけです。すぐに証明書は発行してもらえる?
法務局(登記所)に申請してから、証明書を発行してもらうまでの日数はどのくらいでしょうか?平成29年8月現在の情報によると都道府県ごとに扱いは異なり、大都市圏では3日~1週間ほど掛かる所があると聞きましたが、岡山法務局では基本的にその日のうちにすぐ発行してもらえるそうです 4。
代わりに手続してもらうには?
法定相続情報証明制度を利用しても従来の相続手続と同じように、戸籍収集や戸籍の解読、書類作成や申請手続に手間と時間を掛ける必要があります。法定相続情報証明制度の利用を代理人にやってもらうことはできますが、代理人になれる人は限定されています。
親子や配偶者などの親族か、専門家(弁護⼠、司法書⼠、⼟地家屋調査⼠、税理⼠、社会保険労務⼠、弁理⼠、海事代理⼠、⾏政書⼠)だけです。プライバシーに関わる分野ですので、家族と高い職業倫理に支えられた専門家に限られているのです。
松葉会計・行政書士事務所では税理士と行政書士が協同で業務を行い、法定相続情報証明制度の代理はもちろん、遺産分割協議書の作成や口座解約手続等の代理、相続税の計算・申告も行っております。
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